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ベトナムのカカオ農家を訪ねて|暮らし・収入・栽培の現状

ベトナムのカカオ農家を訪ねて|暮らし・収入・栽培の現状

チョコレートの原料となるカカオ。そのカカオを育てている農家の人たちは、どんな暮らしをしているのでしょうか。

世界のカカオ生産といえば、ガーナやコートジボワールなどの西アフリカが有名ですが、東南アジアのベトナムでもカカオが栽培されています。

私たちBINON CACAOが農園とチョコレート工場を構えるのは、ベトナム南部、旧バリア・ブンタウ省のチャウドック地域です。

周辺には大小さまざまなカカオ農家があり、近い農家ならバイクで10分、遠くても30分ほどの距離にあります。

今回は、私たちが日頃からお付き合いしている農家の暮らしや仕事、カカオ産業の現状、そしてBINON CACAOとの関わりについてご紹介します。

ベトナムのカカオ農家の暮らしと仕事

カカオはお水が大好き

ベトナムのカカオ農家の暮らしと仕事

ベトナム南部のカカオ農家では、比較的涼しい朝の時間帯から農園の仕事が始まります。

大切な仕事の一つが水やりです。私たちがお付き合いしている農家では、週に3回ほど、カカオの木にたっぷりと水を与えています。

カカオの実はすべて同時に熟すわけではないため、収穫期には熟した実を見極めながら少しずつ収穫します。
一つ一つ丁寧に手作業でカカオの実を刈り取ります。

自分で発酵を行わない農家は、収穫したカカオポッドを発酵設備のある農家や事業者に販売します。

日々の水やりや収穫など、地道な仕事の積み重ねがカカオ栽培を支えています。

カカオだけではない、南国の果物に囲まれた暮らし

ベトナムのカカオ農家の暮らしと仕事

ベトナムのカカオ農家は、必ずしもカカオだけを育てているわけではありません。

私たちがお付き合いしている農家の多くは、ジャックフルーツ、パッションフルーツ、ポメロ、ドリアン、ドラゴンフルーツなど、さまざまな果樹も一緒に育てています。

カカオの木の間に南国の果樹が混在する風景は、この地域の農園の特徴の一つです。

一方、2-3ヘクタール以上の土地でカカオを中心に栽培し、自分たちで発酵・乾燥まで行っている農家もあります。こうした農家にとっては、カカオが主な収入源になっています。

農家によって土地の広さも栽培方法も異なり、カカオとの関わり方もさまざまです。

300平方メートルの小さな農園から専門農家まで

ベトナムのカカオ農家の暮らしと仕事

BINON CACAOでは、地域の大小さまざまなカカオ農家から、直接カカオを買い付けています。

カカオの買い付けには、大きく分けて二つの方法があります。

一つ目は、収穫したカカオの実(カカオポッド)をそのまま購入する方法です。

カカオ農家の中には、わずか300平方メートルほどの土地で栽培している小規模な農家もあります。こうした農家は、自分で発酵・乾燥を行う設備を持っていないため、収穫したカカオポッドを発酵設備のある農家や事業者に販売します。

BINON CACAOもその売り先の一つです。
BINON CACAOは何十軒もの小規模農家からカカオポッドを買い集め、自社の施設でまとめて発酵・乾燥を行い、カカオ豆に加工しています。

二つ目は、農家が発酵・乾燥まで行ったカカオ豆を購入する方法です。

栽培だけでなく、発酵・乾燥の設備と技術を持ち、カカオ豆の状態まで加工して販売する農家もあります。

カカオ豆の発酵は、チョコレートの香りや味わいを左右する非常に重要な工程です。そのため、BINON CACAOでは発酵技術が高く、品質を信頼できる農家から買い付けています。現在、取引をしている農家は5軒ほどです。

このように、小さな農家はカカオポッドを販売し、発酵設備を持つ農家はカカオ豆まで加工して販売するなど、農家の規模や技術によって販売方法が異なります。

BINON CACAOは、どちらの農家とも直接取引することで、地域のさまざまな規模の農家と関わっています。

ベトナムのカカオ産業の現状と課題

ベトナムのカカオ農家は貧しい? 現地で感じる実情

ベトナムのカカオ産業の現状と課題

カカオ産業について調べると、西アフリカの一部生産地域で問題となっている農家の貧困や児童労働について目にすることがあります。

では、ベトナムのカカオ農家も同じような状況なのでしょうか。

少なくとも、私たちが日頃からお付き合いしているチャウドック周辺の農家については、農村での暮らしではありますが、特に貧しいという印象は受けていません。

もちろん、これは私たちが実際に接している農家についての印象であり、ベトナム全体の農家の生活水準を示すものではありません。

ベトナムでは、カカオの取引価格は買い手と売り手の交渉によって決まります。私たちも品質を確認しながら、農家と直接価格の話をしています。

農家にとって、品質のよいカカオを作ることは、よりよい販売条件を得るための大切な要素です。

カカオ価格の上昇と農家への影響

数年前、世界的なカカオ価格の高騰が大きな話題になりました。

カカオの販売価格が上がることは、農家にとって収入を増やす機会になります。実際に、私たちがお付き合いしている農家の皆さんも、価格の上昇を喜んでいます。

一方、チョコレートメーカーにとっては、原料価格の高騰は大きな負担です。

BINON CACAOも自社農園を持っていますが、すべての原料を賄えるわけではなく、農家からの買い付けが欠かせません。

農家にとって嬉しい価格上昇が、メーカーにとっては厳しい経営環境につながる。私たちはその両方を実感しています。

また、カカオ農家にとっては、価格だけでなく天候や病気、収穫量の変動も大きな課題です。

ベトナム国内でも地域によって状況は異なり、私たちの把握している範囲では、
10年程度前からメコンデルタでカカオ栽培が減少しています。

一方、2024年頃のカカオショック以来、ザライ、ダクラク、ビンフオックなどでは栽培が広がる動きも見られます。

BINON CACAOと地域のカカオ農家の取り組み

直接買い付けと、品質向上のための協力

BINON CACAOと地域のカカオ農家の取り組み

BINON CACAOでは、カカオ農家との直接取引を大切にしています。

私たちが重視しているのは、カカオ豆の品質だけでなく、適正な買取価格、そして農家の皆さんとの長期的な信頼関係です。

良質なカカオ豆を安定して生産してもらうため、農家に発酵箱や乾燥台を提供し、品質向上に向けた協力も行っています。

私自身も農家を訪問し、カカオ豆の発酵や乾燥状態、品質を確認しながら、ベトナム語で直接話し合いや価格交渉をしています。

ベトナムの地方にあるカカオ農園に、日本人が直接足を運び、現地の言葉で農家と交渉するのは、まだ珍しいことのようです。

私はベトナムで暮らし、チョコレート工場を経営していますが、カカオ農家の皆さんにとっては、外国人である私が地域で事業を営んでいることも、少し珍しく映っているのかもしれません。
実際、私の知らないところで、地元でも話題にしていただいているそうです。

もちろん、事業を続けてこられたのは、農家の皆さんの協力があってこそです。
カカオの品質や価格については真剣に話し合いながら、お互いを理解し、長くお付き合いできる関係を大切にしています。

ベトナムの旧正月「テト」には、農家の皆さんと一緒に宴会を楽しむこともあります。こうした仕事以外の交流も、私たちにとって大切な時間です。

そして、BINON CACAOの特徴の一つは、農家から買い付けたカカオを、同じ地域にある自社工場でチョコレートにしていることです。

農家の皆さんが育てたカカオが、どのようなチョコレートになり、日本をはじめ海外のお客様に届けられているのか。そのつながりが見えることにも意味があると考えています。

農家の皆さんが、自分たちのカカオから作られたチョコレートについてどう感じているのかは、まだ直接聞いたことがありません。いつか、その思いも聞いてみたいと思っています。

カカオを育てる人と、チョコレートを作る人。その距離が近いことは、BINON CACAOの大きな特徴です。

これからも農家の皆さんと一緒に、ベトナムのおいしいカカオを世界に届けていきたいと考えています。

ベトナムのおいしいカカオを、もっと世界へ

BINON CACAOと地域のカカオ農家の取り組み

私が初めてベトナムのカカオ農園を訪れたとき、広大な敷地、ほとんどの作業を手作業で行う農家の姿、そして色鮮やかで可愛らしいカカオポッドが印象に残りました。

何よりも、「そうか、チョコレートは南国のフルーツからできているんだ」という、考えてみれば当たり前のことに、新鮮な驚きを感じました。

そして、私が暮らすベトナムで、そのカカオが栽培されていること。しかも、品質の高いカカオが生産されているにもかかわらず、その魅力はまだ十分に知られていないこと。

そこに、ベトナムのカカオの大きな伸びしろと可能性を感じました。

現在、BINON CACAOは自社農園と工場を運営しながら、地域の農家の皆さんと協力してチョコレートを製造しています。

今後は発酵施設をさらに拡充し、より多くの農家からカカオを買い付け、品質のよいカカオ豆やチョコレートとして世界中に届けたいと考えています。

一枚のチョコレートの向こう側には、カカオを育てる人たちの日々の仕事があります。

農家の皆さんが心を込めて育てた、おいしいベトナムのカカオ。

その魅力を、これからもBINON CACAOのチョコレートを通して伝えていきたいと思います。

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